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令和2年度の事業の概要
わが国の景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により戦後最悪のマイナス成長を記録した後、各種政策の効果や輸出の伸びにより持ち直す場面があったが、個人消費は外出自粛の影響により弱含みで、企業収益も非製造業を中心に弱さがみられる一方、アジア向け輸出の増加により製造業は明確な回復基調が続くといった、非製造業と製造業で二極分化する回復であった。また、金融情勢については、米国金利や株価の上昇などから、令和2年6月以降長期金利は0%以上で推移したが、日銀は令和3年3月の金融政策決定会合で「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」の結果を公表するとともに、金融調整と資産買入れに関する方針を修正するなど、緩和の長期化を見据えた政策を決めた。
農政については、TPP(環太平洋連携協定)、日欧EPA(経済連携協定)、日米貿易協定に続いて、令和2年11月にはRCEP(東アジア地域包括的経済連携)にも合意して、世界に農産物市場を開放している。また、改正農協法施行後5年の見直し時期を令和3年4月に控え、規制改革推進会議(農林水産ワーキンググループ)では、農水省が「農業者向けの事業融資の強化」や「関連産業への投融資」が必要だと指摘しJAバンクに「自ら目標を設定して着実に推進」するとの考えを打ち出した。
県下の農業情勢については、令和2年産水稲は、日照不足や台風のほかトビイロウンカの影響により2年連続で作況指数が「不良」となる77となった。また、農業経営体数の減少や高齢化などが顕著になるなか、令和元年農業産出額が病害虫被害や価格下落により3年連続で減少となったことを受けて、県と県内JA等は令和3年3月に県農業総合戦略会議を設立するとともに「県農業非常事態」を宣言し、農業生産の拡大等を目指すこととした。
このような情勢のなか、当会は、信連経営3ヵ年計画書(2019年度~2021年度)・JAバンク大分中期戦略(2019年度~2021年度)の中間年度にあたり、「組合員・利用者目線による事業対応の徹底」「持続的な収益構造の構築」の実現に向け、『戦略4本柱』(①農業・地域の成長支援 ②貸出の強化 ➂ライフプランサポートの実践 ④組合員・利用者接点の再構築)を加速しながら実践し、事業方針に沿った業務への取組みにより経営の健全化・安定化に努めた。
県下JAにおいても、県域が一体となった変革の実現に向けて、中期戦略に定めた重点実践事項への取組みを強化し実践した。
JAバンク大分中期戦略の取組状況
JAの自己改革の継続実施に加え、組合員等の満足度をさらに向上させ、地域において一層必要とされる存在となるため、県域が一体となった変革の実現に向けて、既往施策に加え、新たに次の4つの重点実践事項に取り組んでいます。
1.農業・地域の成長支援
① 農業所得向上および農業者の満足度向上
② 食農バリューチェーン構築による農業・地域の成長支援
③ JA営農・経済事業の成長・効率化戦略
2.貸出の強化
① 貸出実施体制の整備・強化
② 農業資金・生活資金の対応力強化
③ 人材育成
④ 貸出業務の標準化およびインフラ整備
3.ライフプランサポートの実践
① 資産形成・資産運用提案に不可欠な投資信託を
活用したライフプランコンサルティングの実践
② ライフイベントセールスを通じた利用者基盤の維持
4.組合員・利用者接点の再構築
① ハードチャネル再編
② 新たな推進態勢の構築
③ 非対面チャネルの強化
④ 農業と地域・利用者をつなぐ金融サービスの提供・地域貢献
最近の5事業年度の主要な経営指標
(単位 : 百万円、口、人、%)
(注)「単体自己資本比率」は、「 農業協同組合等がその経営の健全性を判断するための基準」(平成 18 年金融庁・農林水産省告示第 2 号) に基づき算出しております。
貯金
県下JA、連合会及び地方公共団体・個人・法人より積極的な資金調達に努めた結果、貯金残高は、当期首比150億円増加し5,028億円になりました。
貸出金
農業専門金融機関、地域金融機関として農業・系統関連企業・地場優良企業・地方公共団体等の貸出に努めた結果、貸出金残高は、当期首比37億円増加し618億円になりました。
有価証券
日銀の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策が継続されるなか、新型コロナウイルス感染拡大対応による各国の財政・金融政策等を背景とした株価の大幅反発や金利上昇など、市場動向を注視し、期間収益の確保、及びポートフォリオの改善に努めた結果、有価証券残高は、当期首比20億円増加し1,446億円になりました。
損益の状況
当年度の経常収益は、前期比4.2%増加しました。
また、当期剰余金は1,307百万円で、当期未処分剰余金は1,655百万円となりました。