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令和3年度の事業の概要
わが国の景気は、新型コロナウイルス感染症の影響から緊急事態宣言等が断続的に発出される中で力強さを欠いたものの、影響が徐々に和らぐもとで基調としては持ち直している。海外経済は、国・地域ごとにばらつきを伴いつつ、総じてみれば回復しているが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、期末にかけて国際金融資本市場では不安定な動きがみられるほか、原油などの資源価格も大幅に上昇しており、今後の動向に注意が必要な状況である。そうしたなか、輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響を残しつつも、基調としては増加を続けており、企業収益や景況感は全体として改善を続けている。
金融面については、米FRBが令和4年3月からゼロ金利政策を解除し利上げに踏み切るなか、日銀は令和4年3月の金融政策決定会合において、2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続することとしている。また、当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和を講じることとしており、政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移すると想定されている。
農政については、「食料・農業・農村基本計画」に基づき、食料自給率の向上と食料安全保障の確立を目指し、農業の持続性確保に向けた人材育成・確保、スマート農業の加速化等が進められている。また、令和3年6月に規制改革推進会議からの答申が行われ、農協改革に関しては「自己改革の取組みを行ったことに満足するのではなく、その取組みを具体的な成果につなげていかなればならない」として「自己改革実践サイクル」の構築が求められている。
県下の農業情勢については、令和2年度に農業産出額の減少に歯止めがかかったものの、本県農業は他県と比較して構造改革が遅れ危機的状況に陥っている。県やJAグループは令和3年3月15日に「大分県農業非常事態宣言」を公表し、関係機関が一体となって本県農業の再生を図ることとしている。JAグループもこれまで以上に地域農業の担い手の育成や支援の取組みが必要となっている。
このような情勢のなか、当会は、信連経営3ヵ年計画書・JAバンク大分中期戦略の最終年度にあたり、「組合員・利用者目線による事業対応の徹底」「持続的な収益構造の構築」の実現に向け、『戦略4本柱』(①農業・地域の成長支援 ②貸出の強化 ③ライフプランサポートの実践 ④組合員・利用者接点の再構築)を加速しながら実践し、事業方針に沿った業務への取組みにより経営の健全化・安定化に努めた。
県下JAにおいても、県域が一体となった変革の実現に向けて、中期戦略に定めた重点実践事項への取組みを強化し実践した。
JAバンク大分中期戦略の取組状況
JAの自己改革の継続実施に加え、組合員等の満足度をさらに向上させ、地域において一層必要とされる存在となるため、県域が一体となった変革の実現に向けて、次の4つの重点実践事項に取り組みました。
1.農業・地域の成長支援
① 農業所得向上および農業者の満足度向上
② 食農バリューチェーン構築による農業・地域の成長支援
③ JA営農・経済事業の成長・効率化戦略
2.貸出の強化
① 貸出実施体制の整備・強化
② 農業資金・生活資金の対応力強化
③ 人材育成
④ 貸出業務の標準化およびインフラ整備
3.ライフプランサポートの実践
① 資産形成・資産運用提案に不可欠な投資信託を
活用したライフプランコンサルティングの実践
② ライフイベントセールスを通じた利用者基盤の維持
4.組合員・利用者接点の再構築
① ハードチャネル再編
② 新たな推進態勢の構築
③ 非対面チャネルの強化
④ 農業と地域・利用者をつなぐ金融サービスの提供・地域貢献
最近の5事業年度の主要な経営指標
(単位 : 百万円、口、人、%)
(注)「単体自己資本比率」は、「 農業協同組合等がその経営の健全性を判断するための基準」(平成 18 年金融庁・農林水産省告示第 2 号) に基づき算出しております。
貯金
県下JA、連合会及び地方公共団体・個人・法人より積極的な資金調達に努めた結果、貯金残高は、当期首比50億円増加し5,079億円になりました。
貸出金
農業専門金融機関、地域金融機関として農業・系統関連企業・地場優良企業・地方公共団体等の貸出に努めた結果、貸出金残高は、当期首比42億円増加し660億円になりました。
有価証券
日銀の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策が継続される一方、新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢の悪化、資源高を主因とするインフレ懸念等により不安定な運用環境となるなか、各国の財政・金融政策や市場動向を注視し、期間収益の確保及びポートフォリオの改善に努めた結果、有価証券残高は、当期首比28億円増加し1,474億円になりました。
損益の状況
当年度の経常収益は、前期比16.3%減少しました。
また、当期剰余金は1,180百万円で、当期未処分剰余金は1,767百万円となりました。