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令和6年度の事業の概要
わが国の経済は、住宅投資など一部に弱めの動きがみられるものの、企業収益の良好な水準維持、設備投資の増加、雇用・所得環境の改善、個人消費の増加基調により緩やかに回復してきた。先行きについては、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、米国の関税政策による影響などが、わが国の景気を下押しするリスクとなっている。
金融面については、各国の金融政策変更の波紋が広がるなか、米国の関税政策が与える影響や地政学リスクの高まりなどから、内外の経済や金融市場を巡る不確実性が増しており、わが国に対する経済・物価動向にも不透明感が高まっている。日銀は、賃金と物価が想定どおりに動いていることから、令和6年度に2度の政策金利引き上げを実施したが、依然、実質金利は低水準にあるとして、中立金利まで利上げを行うとしている。今後の金融政策においては、為替動向や世界経済の先行きリスクなどをにらみながら、2%の物価安定の実現を目指した政策運営を行っていくとしている。
農政については、令和6年6月に「食料・農業・農村基本法」が改正され、食料安全保障を基本理念の柱と位置付けたうえで、国全体としての食料の確保(食料の安定供給)に加えて、「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、国民一人一人がこれを入手できる状態」と定義されるなど、食料安全保障についての考え方が抜本的に強化されており、今後、これらに関連する具体的な施策が進められる。
県下の農業については、令和5年度の農業産出額が1,342億円となり、前年と比べ、主に米、野菜および鶏の価格上昇に伴い産出額が増加したことから、97億円(7.8%)増加したものの、農業経営体数の減少、農業就業人口の高齢化の進行、担い手の減少等、課題は少なくない。そこで県は、今後10年間の県農林水産行政の基本方針となる大分県農林水産業振興計画「おおいた農林水産業元気づくりビジョン2024」を令和6年9月に策定し、園芸・畜産の生産拡大を中心とした農業の成長産業化に取り組んでいくこととしている。
このような情勢のなか、当会は、経営3ヵ年計画ならびにJAバンク大分中期戦略の最終年度にあたり、「JAバンクならではの金融仲介機能の発揮」と「徹底的な業務効率化によるコスト構造の抜本的見直し・人材創出」を骨子とした具体的な取組みを実践し、JAの信用事業を補完するとともに、県域一体となった持続可能な収益構造の構築に取り組んだ。
また、JAバンクの一員として、基本的使命と社会的責任を果たすため、JAバンク基本方針に基づいた内部管理態勢のより一層の強化・健全性確保を図り、併せて、コンプライアンス基本方針の遵守とリスク管理の徹底及び収益基盤の拡充強化と経営の合理化・効率化に努めた。
JAバンク大分中期戦略の取組状況
令和6年度は、JAバンク大分中期戦略の最終年度であり、「農業・くらし・地域」の各領域での取組みにおける方向性は不変であり、JAバンク経営戦略シートで可視化された各JAの目指す姿の実現に向け着実に取組みを推し進めていくためにJAバンク大分として、信用事業のデジタル化による事務の効率化を図りつつ、総合事業性を最大限生かしたJAの強みである「顔の見えるつながり」の実現に取り組みました。
1.「農業」領域における取組み
①経営課題を可視化し、ニーズの発掘と深堀りを徹底
②営農経済事業等と連携したワンストップかつ高度なソリューションの提供
③生産部会等の接点を活かした営農経済事業等と連携した情報提供
④組合員の資産状況を可視化し、ニーズの発掘と深堀りを徹底
2.「くらし」領域における取組み
①組合員・利用者の豊かなくらしの実現に向けたライフプランサポートの実践
②利用者に農業振興への関心・参画を促す金融サービス・施策の提供
③地域住民のコミュニティ維持に資するインフラ提供・組合員・利用者のデジタル化進展、デジタルサービスを活用した新たな接点の構築
3.「地域」領域における取組み
①それぞれの地域の課題・住民ニーズに即した地域活性化への取組み
②農業振興を意識した地域活性化の取組み
4.業務効率化にかかる取組み
①コスト構造の抜本的見直しと人材創出に向けた取組み
最近の5事業年度の主要な経営指標
(単位 : 百万円、口、人、%)
(注)「単体自己資本比率」は、「農業協同組合等がその経営の健全性を判断するための基準」(平成18年金融庁・農林水産省告示第2号)に基づき算出しております。
貯金
県下JA、連合会及び地方公共団体・個人・法人より資金調達に努めた結果、貯金残高は、当期首比246億円減少し4,360億円になりました。
貸出金
農業専門金融機関、地域金融機関として農業・系統関連企業・地場優良企業・地方公共団体等の貸出に努めた結果、貸出金残高は、当期首比8億円減少し800億円になりました。
有価証券
海外では欧米の中央銀行による利下げが続いた一方、日銀は2度の政策金利引き上げを行い、今後も追加利上げの可能性を示唆するなど、相場が振れやすい運用環境となるなか、各国の財政・金融政策や市場動向等を注視し、期間収益の確保及びポートフォリオの改善に努めた結果、有価証券残高は、当期首比83億円減少し1,172億円になりました。
損益の状況
当年度の経常収益は、前期比20.1%増加しました。
また、当期剰余金は831百万円で、当期未処分剰余金は1,153百万円となりました。