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令和4年度の事業の概要
わが国の景気は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動との両立が進むもとで、持ち直している。企業収益は、全体として高水準で推移しており、業況感は横ばい、設備投資は緩やかに増加、雇用・所得環境は緩やかに改善している。日本経済の展望は、資源高や海外経済減速による下押し圧力を受けるものの、新型コロナウイルス感染症や供給制約の影響が和らぐなかで、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられている。
金融面については、海外の経済・物価の動向、米国銀行の経営破綻に端を発した世界的な金融システム不安、今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向、内外の感染症の動向やその影響など、わが国経済を巡る不確実性が残るなか、これらの影響を十分注視する必要がある。日銀は、引き続き2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続することとしている。また、当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和を講じることとしており、政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移すると想定されている。
農政については、「食料・農業・農村基本計画」を指針として、食料自給率・食料自給力の維持向上に向けた施策、食料の安定供給の確保に関する施策、農業の持続的な発展に関する施策等が、総合的かつ計画的に展開されている。また、現在、農林水産省において、「食料・農業・農村基本法」の果たす役割と課題について、検証する部会が設立・開催されており、法律の改正に向けた議論が進められている。
県下の農業については、令和3年度の農業産出額が1,228億円となり、前年比で増加したものの、農業経営体数の減少、農業就業人口の高齢化の進行、担い手の減少等、課題は多い。現在、県と県内農業団体とで設置した大分県農業総合戦略会議による農業システム再生に向けた行動宣言のもと、生産者・農業団体・行政が一丸となった具体的取組が進められ、JAグループも農業者の所得増大と農業生産の拡大を通じた大分県農業の再生に取り組んでいる。
このような情勢のなか、当会は、経営3ヵ年計画並びにJAバンク大分中期戦略の初年度にあたり、「JAバンクならではの金融仲介機能の発揮」と「徹底的な業務効率化によるコスト構造の抜本的見直し・人材創出」を骨子とした具体的な取組みを実践し、JAの信用事業を補完するとともに、県域一体となった持続可能な収益構造の構築に取り組んだ。
また、JAバンクの一員として、社会的責任と公共的使命を果たすため、JAバンク基本方針に基づいた内部管理態勢の強化・健全性確保を図り、併せて、コンプライアンス基本方針の遵守とリスク管理の徹底及び収益基盤の拡充強化と経営の合理化・効率化に努めた。
JAバンク大分中期戦略の取組状況
持続可能な農業・豊かでくらしやすい地域共生社会の実現に向け、JAバンク大分として信用事業を起点としつつ、総合事業性を最大限生かしてJA・県域が一体となり、「農業・くらし・地域」各領域での「金融仲介機能の発揮」、またその土台となる「徹底的な業務効率化」等に取り組みました。
1.「農業」領域における取組み
①農業者の経営の安定・成長に向けた経営課題の解決
②農業者と消費者をつなぐJAバンクならではの取組み、農業者の豊かなくらしの実現に向けたサポート
③バリューチェーン構築・強化に向けた地域の食農企業との関係強化
2.「くらし」領域における取組み
①組合員・利用者の豊かなくらしの実現に向けたライフプランサポートの実践
②利用者に農業振興への関心・参画を促す金融サービス・施策の提供
③地域住民のコミュニティ維持に資するインフラ提供・組合員・利用者のデジタル化進展、デジタルサービスを活用した新たな接点の構築
3.「地域」領域における取組み
①それぞれの地域の課題・住民ニーズに即した地域活性化への取組み
②農業振興を意識した地域活性化の取組み
③地域住民の豊かさ向上を意識した地域活性化の取組み
4.業務効率化にかかる取組み
①コスト構造の抜本的見直しと人材創出に向けた取組み
最近の5事業年度の主要な経営指標
(単位 : 百万円、口、人、%)
(注)「単体自己資本比率」は、「 農業協同組合等がその経営の健全性を判断するための基準」(平成 18 年金融庁・農林水産省告示第 2 号) に基づき算出しております。
貯金
県下JA、連合会及び地方公共団体・個人・法人より資金調達に努めた結果、貯金残高は、当期首比234億円減少し4,845億円になりました。
貸出金
農業専門金融機関、地域金融機関として農業・系統関連企業・地場優良企業・地方公共団体等の貸出に努めた結果、貸出金残高は、当期首比8億円増加し668億円になりました。
有価証券
世界的なインフレ懸念に対して、国内では日銀が長期金利の許容変動幅を拡大し、依然として追加的な金融政策の修正観測が燻る一方、海外では欧米を中心に利上げが進み不安定な運用環境となるなか、各国の財政・金融政策や市場動向等を注視し、期間収益の確保及びポートフォリオの改善に努めた結果、有価証券残高は、当期首比103億円減少し1,371億円になりました。
損益の状況
当年度の経常収益は、前期比1.0%増加しました。
また、当期剰余金は597百万円で、当期未処分剰余金は1,498百万円となりました。